岡山県倉敷市の特別支援学校では、生徒らに社会で働く力を身に付けてもらおうと授業でパンを作り、販売しています。先週、生徒らは2025年度初めて地域の人にパンを販売しました。
こねて……形を整えて……次々とパンを焼き上げます。おいしく作るコツは少ない手数で仕上げることだそうです。
倉敷市真備地区にある倉敷まきび支援学校では、県内の特別支援学校で唯一、生徒がパンの製造販売に取り組んでいます。
パンを作るのは、高等部の職業コースの生徒12人。週2回のパン作りを通して、社会に出て働くのに必要な力を身に付けています。
(倉敷まきび支援学校/山本奈穂子 教諭)
「自分が与えられた役割をしっかり果たすためには、あいさつもそうだし、報告・連絡・相談とか、困ったときはボーっと突っ立ってるんじゃなくて、周りに発信して助けてもらう。その力は今後、大人になってからも絶対必要になると思う」
小田川沿いにある倉敷まきび支援学校は、2018年の西日本豪雨で大きな被害を受けました。その後、新型コロナの影響もあり、パンの販売を約3年間中断。2021年にようやく再開しました。
地元のベーカリー「パンポルト」の戸澤実さんは、2020年から生徒らにパン作りの指導をしています。
(パンポルト/戸澤実さん)
「災害の後に、地域で『やってくれないか』と声が掛かったので、求められているなら、全然協力はできるので」
2025年度初めてのパンの販売に向けて生徒らは前日から準備を進め30種類以上のパン約650個を作りました。
販売開始の30分前には行列が! 地域の人をはじめ、多くのお客さんがトレーいっぱいにのせたパンを買い求めていました。
(お客さんは―)
「生徒さんが一生懸命作られているというのがいいんじゃないかなと思って。数が多いから孫たちに分けてあげようかなと思ってます」
「一度来るとはまってしまって、パンの生地自体がおいしいので、どれを買ってもおいしいのかな」
パンは販売開始から約50分で全て売り切れました。
(生徒は―)
「お客さんが笑顔で帰られていく姿を見て、こちらも販売してよかったなというのが一番」
「こういうパン販売もそうなんですけど、相手が笑顔になれるような接客がしたいので、接客業に就職したいと思っている」
(倉敷まきび支援学校/山本奈穂子 教諭)
「仕事をする上で愛される人間になってほしい。信頼される人間になってほしい」
この日は他の生徒が作った革製品も販売されました。この販売会、次回は7月9日に開かれる予定です。